▼「フードファディズム」という言葉を知っていますか？
フードファディズム (food faddism) とは、食べものや栄養が健康と病気に与える影響を、熱狂的、あるいは過大に信じること。
ある一定の食物は体に悪いから一切食べないとか、逆に体にいいのでそればっかり食べるという思考をフードファディズムと言います。
この概念を日本で紹介したのは、高橋久仁子・群馬大学教育学部教授です。
▼フードファディズムが起こる背景とは？
視聴率や販売部数向上のためにマスメディアは、人目を引く情報発信になりがちです。
過去約30数年でも、紅茶きのこ（1975年頃）、酢大豆（88年頃）、ココア（96年頃）、にがり（03年頃）、寒天（05年夏）、白いんげん豆（06年5月）、納豆（07年1月）、バナナ（08年9月）などが、「ダイエット効果あり」などと言われ、ブームになりました。
マスコミで取り上げられて、翌日から売り切れ続出のケースですね。
でも結局、一時的に流行っただけ…。
たとえば、天然の物や植物性は良くて、人工的に作ったものや動物性は悪いといった傾向です。
この傾向に便乗して“あちらの商品は危険だらけですけどうちの製品は安全ですよ”と言って消費者の不安をあおる不安便乗ビジネスと呼ばれるものがあります。
多くの人の健康志向や美容願望に付け込んでフードファディズムを煽るのは、これを売って儲けようという輩である。そして、一部のメディアがその提灯を持つ。
大量に摂取しなければ効果がないのに、その点は無視してさも効能があるかのように宣伝する。逆に問題にならない程度の含有量であるにも関わらず、「危険だ」といって騒ぎ立てる… など。
その食品に含まれる「有益・有害成分」の量には言及せず 「〇〇に良い「×× に悪い」と主張すること。
食品に入っている特定の成分の含有量を無視して、その効用や害についてだけ過大に注目させることです。「カプサイシンが脂肪を燃焼する」と効果が期待できるほどの量が含まれていないのにダイエットに効果があるように表示したり、
例えば、「タマネギは血糖値を下げる物質を含む。」という研究があってもタマネギを食べて血糖値を下げるには、体重50kgの人の場合、50kgのタマネギを食べなければならない。
▼フードファディズムの弊害
健康食品やサプリメントの「過剰摂取による弊害」が起こる可能性アリ。
よい食品も食べ過ぎれば、特定の栄養素の過剰摂取につながったり、ほかの食品を食べられなくなったりする弊害を生じます。
体に悪いという食品を避けてしまったばかりに、栄養不足になったという本末転倒な話はよくあります。
フードファディズムの悪い影響は様々考えられます。特に子供への発育不良は非常に重い問題です。
学術論文の都合のいい部分だけを抜き出す、摂取する量についてあえて触れない、効果の部分だけを過剰に煽り、リスクを言わないなど、見ているとけっこうひどいものがあります。
「痩せるサプリ」として販売されていた中国産のお茶が原因で亡くなった人が出たのは記憶に新しところです。
また、「アガリクス」「白インゲン豆」のように、摂取を続けた数多くの人に健康被害が引き起こされ、裁判問題に発展した例も。
