◆『故郷』(1972)
瀬戸内海の小島に住む一家が、押し寄せる高度経済成長の波に追われ、それまでの慎ましくも幸せな生活を手放すまでの揺れ動く心情を哀惜をこめて描いた人間ドラマ。
脚本は「泣いてたまるか」の宮崎晃、監督は脚本も執筆している「男はつらいよ 柴又慕情」の山田洋次、撮影も同作の高羽哲夫。
舞台となった広島県倉橋島(現呉市)に長期滞在し、島の住民を多く登場させるなど、『家族』同様ドキュメンタリーの手法も交えて撮った。
◆『仁義なき戦い』(1973)
日本暴力団抗争史上、最も多くの血を流した“広島やくざ戦争"の渦中にいた元・美能組々長・美能幸三の獄中での手記をもとに、作家・飯干晃一が描いた実録ノンフィクションを映画化。
敗戦直後の広島・呉。復員してきた広能はその度胸ときっぷの良さを買われ、山守組の一員に。それを機に、弱小勢力だった山守組は組織を拡大、ついには他組織との全面抗争へと発展していく…。
深作欣二監督が、斬新で迫力ある映像を駆使してドキュメンタリータッチで描いた大ヒット実録ヤクザシリーズの記念すべき第1作目。
◆『海猿』(2004)
『ブラックジャックによろしく』で知られる人気漫画家・佐藤秀峰のコミックを原作に、『躍る大捜査線THE MOVIE』のスタッフたちが作り上げた海洋エンターテインメント作品。
人命救助のエキスパートで、海上保安庁の中のエリートである「潜水士」。厳しい試験と訓練を経て、一人前の潜水士として成長していく青年たちの青春を描く。
◆『男たちの大和/YAMATO』(2005)
監督:佐藤純彌
脚本:佐藤純彌
原作:辺見じゅん
出演:反町隆史、中村獅童、松山ケンイチ、鈴木京香、奥田瑛二、林隆三、渡哲也、仲代達矢
世界最大最強を誇りながらも、米軍の総攻撃に沈んだ戦艦大和。その乗組員と家族の人生模様を、CGを駆使した壮絶な戦闘シーンを交えて描き出す戦争ドラマ。
監督・脚本は『人間の証明』『敦煌』などの日本映画界の巨匠・佐藤純彌。出演者も反町隆史、中村獅童、渡哲也、鈴木京香と豪華な顔ぶれ。主題歌は長渕剛が情感こめて歌い上げる。約6億円かけて原寸大で再現された全長190メートルもの巨大セットは想像を超えた迫力。
◆『この世界の片隅に』(2016)
第2次大戦下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前を向いて生きていく女性すずの日常を描いた、こうの史代の同名漫画をアニメ映画化した人間ドラマ。
『マイマイ新子と千年の魔法』で評判を呼んだ片渕須直監督が、徹底した原作追及、資料探求などを重ね、すずの生きた世界をリアルに描く。