▼平昌パラリンピックで目を引いた小栗大地選手の義足
小栗大地(37=三進化学工業)は6位に終わった。3回の滑走でベストタイムを競う種目で、1回目は1分0秒16、2回目は転倒でコースアウト。
最終滑走で58秒47とタイムを上げて意地は見せたが「いいところがなく、悔しい。まだまだ実力が足りない。練習も足りない」と絞り出すように言った。
小栗が職場で事故に巻き込まれたのは2013年8月。鉄製部品が足の上に落下し、右足をひざ上で切断した。
小栗は32歳の時、勤め先の事故で右足を切断した。重さ数トンの鉄板が足に落下。救急車を待つ間、頭に浮かんだのはスノーボードだった。「義足をつけてできるかなって」
右足を失う前はプロスノーボーダーとして活躍していた小栗は、事故から約3カ月後に職場復帰し、スノーボードを再開。
アフロ
小栗大地/Daichi Oguri (JPN),
MARCH 12, 2018 – Snowboarding :
Men’s Snowboard Cross Standing
at Jeongseon Alpine Centre
during the PyeongChang 2018 Paralympics Winter Games in Pyeongchang, South Korea… by 写真:田村翔/アフロスポーツ
小栗に影響を与えたパラ選手がいる。今大会にアルペンスキーで出場している三沢拓(ひらく)(30)=SMBC日興証券。右足1本で急斜面を滑る姿を、小栗はプロになる前からゲレンデで何度も見て刺激を受けていた。「拓の滑りを知っていたから、足が切れた時も冷静でいられたと思う」
小栗には、パラ選手としてのこだわりがある。ウェアをひざ上で切り、必ず義足をむき出しにして滑るのだ。「僕が拓から教えてもらったように、足がなくても何でもできるって色々な人に知ってもらいたい」
▼その小栗大地選手の義足を作った技師もパラリンピックに参加している
パラリンピック、義足めちゃめちゃかっこいいな〜と思っていたら、スノーボードの小栗選手は「かっこいい義足を見てほしいから」という理由であえて義足むき出しで滑っているのだと知りときめいたし、その義足を作った技術者が今大会に選手として出場していると知ってますますときめいた
「日本人の選手も僕の義肢を使ってくれている。とても嬉しいです!」
3月12日に行われた平昌パラリンピック・男子スノーボードクロス(SB-LL1クラス)決勝後のミックスゾーン。オランダのVOS Chrisを下して金メダルを獲得したMike SCHULTZ(アメリカ)はにこやかに話した。
アメリカのミネソタ州に拠点を置く『BIODAPT, INC.』はスノーボードやモトクロス、ウェイクボードといったアクションスポーツを楽しむ下肢切断者の為に、義足のキットを制作、提供している企業だ。
Mikeは同社のオーナーでもある。目的は、下肢切断者がスポーツや運動に参加できるように、高品質で多目的な義足を制作すること。
スノーモービルのプロだったシュルツ選手は2008年12月、レース中に転倒して左足を失った。数カ月後、義足を着けて歩くまでになったが、再びスポーツを始めるには既存の義足では物足りなかった。
以前からオートバイなどの修理を得意としており、自らスポーツに適した義足を開発してレースに復帰。研究の過程でスノーボードの世界にも飛び込んだ。10年には会社を設立し「可動域の広さや衝撃の吸収力が長所」と自任する義足を作り上げた。
同種目でメダリストとなったBrenna HUCKABYやNoah ELLIOTT、Keith GABEL(いずれもアメリカ)を始めとして、平昌の舞台でも多くの選手がBIODAPT製の義足を使用している。日本の小栗大地(三進化学工業/SB-LL1)もその一人だ。
開会式で米国代表の旗手も務めたことを含めて「全てがうまくいっている。信じられない」と喜び、今後の夢を「スキーなど別のスポーツに使える器具を開発して、新たなページを開きたい」と語る。
▼義足のデザインと価格に革命を起こした3Dプリンター
「Exo」と名づけられた彼らの義肢のコンセプトは、ルート氏の美学とバイオメカトロニクス、肢切断患者への意識調査の結果を合体させて完成した。
「義足に対する偏見は、その非人間的な見た目に理由があります。多くの補修部品企業がこの問題に取り組み、実物に近い見た目の義足をつくろうとしますが、“不気味の谷“に落ちてしまうのです」とルート氏は語る。
彼にとって、肌色のゴムでできた義足は“大量生産品“のシンボルでしかない。「義足のデザインは、装着する人の体によって決定されるべきです」と彼は言う。「それぞれの義足は、その使用者と同様に独自なものでなければいけません」。
従来、義肢の制作には数週間から数ヵ月を要した。人工装具は極めて個人的なものであり、装着者の形状や要件に合わせるために、一つひとつオーダーメイドで作る必要があるからだ。
しかし、3Dプリンターが手頃な価格になり、200ドル以下の製品も出てくるようになったことで、誰もが自宅や地域コミュニティーで義肢を設計しプリントすることが、急速に現実味を帯びてきた。