【ムーミン】なぜ阪大の教授はセンター試験を批判したか【地理B】


この記事は私がまとめました

2018年のセンター試験・地理Bにおける「ムーミンなどのアニメを使った、北欧に関する出題」が炎上中。Twitterでは批判を「解けなかった人のひがみ」とする意見が多いですが、ことの発端は阪大のスウェーデン語研究室が世に出した「疑問」にありました。どうして大学教授がセンター試験を批判するのか?

エレ味噌さん

地理Bにムーミンが出題

北欧をテーマにした三つのアニメと言葉を並べ、どの組み合わせがフィンランドか当てさせる問題。正解は「タとB」でした。

阪大スウェーデン語研究室がその不備を指摘

阪大スウェーデン語研究室がセンター地理の出題に疑問

研究室として、舞台の国を特定した根拠の説明を求める意見書を、近く同センターに提出する。

①ムーミンの舞台はフィンランドとは言えない。

「ムーミン谷」は架空の場所であり、フィンランドが舞台だと明示されておりません。

設問には「フィンランドを舞台にしたアニメーション」とあるので、問題に不備があります。

②ムーミン谷のモデルはスウェーデン

スウェーデン大使館のFacebookが「ムーミン谷のモデルになったのは、ヤーンソン一家が夏の日々を過ごしたスウェーデン群島にあるブリード島です」と記されている

トーベ・ヤーンソンはスウェーデン領のブリード島での印象にインスパイアされましたが、それはあくまでもモデルのひとつであり、物語中のムーミン谷そのものではありません。

以上、これらの点からムーミンがフィンランドを舞台としているものとは断定できません。

ちなみにムーミンはスウェーデン語で書かれている

スウェーデン語系フィンランド人作家が、スウェーデン語で書いた一連の物語

根底にあったのは、ムーミン=フィンランドという固定観念ではないでしょうか?

③「小さなバイキング ビッケ」もノルウェーが舞台とは言えない

「ビッケと愉快な仲間たちが住んでいるフラーケ村がノルウェーだとは明示されていません」

同研究室が指摘しました。

結論

「フィンランドを舞台としている」かつ「ノルウェーを舞台としている」という設定があることを確認する必要があるものと考えます。

それらが見つからない場合、この設問は「ノルウェーとフィンランドを舞台とした」という前提がなくなりますので、解答不能となるのではないかと私どもは指摘します。

どうして阪大の研究室が批判文を出したのかについては後ほど。まずはそれぞれの主張を見ていきたいと思います。

ムーミン公式の見解

現在の権利者の公式見解は[…]「現実とは別のファンタジーの世界である」としているとのこと。

ただし、今回の出題は原作ではなく、図版から見て日本で1965年ごろに放送されたアニメについて尋ねています。

権利者の手元にも当時のアニメ版の資料が残っていないことから、「その舞台がフィンランドと設定されているのかどうかは、第三者の検証に委ねたいと思います」[…]と締めくくっています。

問題を作成した大学入試センターの見解

センターは16日、朝日新聞の取材に「知識・思考力を問う設問として支障はなかった」という見解を示した。