魚の不漁に高潮警戒も…12年ぶりの「大蛇行」に心配の声


○黒潮 12年ぶりの「大蛇行」になる見込み

黒潮が大蛇行しています。カツオの漁に影響が出るかも。今後の流れ、注目です
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気象庁は、日本の南を流れる「黒潮」が蛇行していると発表した。

日本列島の南岸に沿って流れる海流の「黒潮」が、12年ぶりに大きく蛇行する可能性が出てきました。

日本の南岸に沿って流れている黒潮が今月20日ごろから紀伊半島沖で蛇行していることが気象庁の解析でわかりました。

○黒潮が大きく蛇行する可能性

蛇行は10月上旬にかけて続くと予想され、2004年7月から05年8月に起きた大蛇行以来の規模になる可能性がある。

この先1か月程度続けば、12年ぶりの「大蛇行」となる見込みで、気象庁は、東海や関東の沿岸で高潮が発生しやすくなるほか、漁業に影響が出るおそれがあるとして注意するよう呼びかけています。

○気象庁の解析でわかりました

今月20日ごろからは、紀伊半島から東海にかけての沖合で蛇行していることが気象庁の解析でわかりました。

具体的には、静岡県からおよそ300キロ南の北緯31.5度付近まで大きく南下したあと、ひらがなの「ひ」を描くように伊豆諸島の八丈島付近に北上しています。

今後も流路は東海沖の北緯30.5度、東経139度付近までさらに南下し、10月上旬になっても大きく離岸した状態が続く見込みであると気象庁は予想。

○当時はシラスやイワシなどの不漁につながった

最近では2004年7月から約1年2か月にわたって発生し、当時はシラスやイワシなどの不漁につながった。

常時、50種類以上を揃える静岡市内の鮮魚店はカツオやアジなど主に、近海で揚がる魚が2017年は少ないと話します。

黒潮大蛇行が発生すると、蛇行した黒潮と本州南岸の間に、深海からの冷たい水が湧き上がることで、漁場の位置にも影響を及ぼす

○黒潮の大蛇行は2004年にも発生

気象庁によりますと、黒潮の「大蛇行」は、統計を取り始めた昭和40年以降、合わせて5回確認されています。

黒潮の大蛇行は2004年にも発生していて、その年もシラスや近海もののカツオなどが不漁になりました。

黒潮の大蛇行はシラスに限らず県内の漁業に影響を及ぼす可能性を専門家は指摘します。

○高潮で低い土地が浸水する可能性がある

台風や低気圧が接近するタイミングでは、東海地方から関東地方の沿岸を中心に、高潮で低い土地が浸水する可能性があるとして注意を呼びかけている。

現在、紀伊半島東岸の潮位が10~20cm高くなっている。黒潮が蛇行すると冷水渦が発生し、西向きに海水が流れることで沿岸の潮位を上げる。

東海から関東の沿岸では潮位の上昇を引き起こし、台風時の高潮被害に注意が必要になる。