死者多数…借金地獄の南米「ベネズエラ」が大変なことになってた


■選挙を巡り大混乱となっている南米ベネズエラ

南米ベネズエラで7月30日、憲法改正手続きに伴う制憲議会選(定数545)が投開票された。

マドゥロ大統領率いる統一社会党が全545議席を獲得したことを受け、翌31日に反政府デモが行われ、治安部隊との衝突などで少なくとも10人が死亡する事態となった。

マドゥロ氏は30日深夜に首都カラカスで支持者を前に演説し「国会による妨害工作もこれまでだ」と勝利宣言。早ければ2日にも制憲議会を発足させ、国会を閉鎖する意向を示した。

野党側は選挙結果が不正に操作されたと主張。デモ隊はカラカスの目抜き通りにバリケードを築き、独裁政権を非難した。

野党勢力は、制憲議会はマドゥーロ大統領による権力奪取の試みだと批判しており、選挙をボイコットしている。

マドゥーロ大統領は、何カ月にもわたって抗議デモが続き、政府と国民議会の対立が膠着(こうちゃく)状態に陥っているなかで、制憲議会の発足が唯一の解決策だと主張している。

米州や欧州連合(EU)など外国からは制憲議会選に対して非難が相次いでいる。

米トランプ政権は31日、ベネズエラのマドゥロ大統領個人に対する制裁を発表した。大統領とベネズエラ政府が同国の民主主義を損なっているとした。

米国が国家元首に制裁を科すのは同氏が4人目。財務省の制裁対象リストには、北朝鮮の金正恩委員長とジンバブエのムガベ大統領、シリアのアサド大統領も載っている。

南米各国は相次いで「結果を認めない」とする声明を出し非難しています。

カナダやアルゼンチン、ブラジルなど12カ国が30日までに今回の制憲議会を認めないという声明を発表した。

「今回の選挙はベネズエラの憲法に違反しており、民主主義の秩序を壊すもので、選挙の結果は認められない。また、これまで100人以上の犠牲者を出している暴力的な弾圧を非難する」

ペルー政府の声明です

■制憲議会とは

憲法改正を目的とした臨時の立法機関で、民主的な手続きを経て選ばれた議会の無効化を含む強い権限を持つ。

候補者は政府の影響下にある選挙管理委員会が選定するため、政府の意図に沿った恣意的な運用が可能になる。

「制憲議会」は数日以内に発足する見通しですが野党側は31日も抗議デモを行うよう呼びかけ、マドゥーロ大統領との対立は今後、一層激しくなりそう

■事態の発端は「マドゥロ大統領」の強権政治

この決定は、立法・行政・司法の三権すべてがマドゥロ大統領の与党・統一社会党によって支配されることを意味する。

この決定=最高裁判所は31日までに、野党勢力が過半数を占める議会からすべての権限を剥奪(はくだつ)し、最高裁に移管する決定を下した。最高裁の判事はマドゥロ大統領派が多数を占めています。

最高裁判所は今年3月、国民議会の権限を剥奪する判断を示したが、後に判断は撤回された。

国民議会のフリオ・ボルヘス議長は30日、「ニコラス・マドゥロ(大統領)はクーデターを起こした」と述べた。

■根本には原油安による深刻な経済危機がある

深刻な経済危機は石油価格の下落でさらに悪化した。石油はベネズエラの輸出額の95%を占め、収益は政府の社会福祉政策に使われてきた。