★『書楼弔堂』 京極夏彦
明治二十年代中頃、東京の外れに佇む三階建ての本屋「書楼弔堂」。無数の書物が揃うその店で、時代の移り変りの中で迷える人々と彼らが探し求める本を店の主人が引き合わせていく。
京極夏彦の新シリーズは、明治を舞台に古今東西の書物の墓場と言うべき異様な書店「書楼弔堂」の店主が迷える者たちに人生の伴侶となる大切な一冊を授ける、本に纏わる連作集。加えてその迷える者たちというのがなかなかの曲者で、いずれも明治を代表する著名人ばかりなのだから恐れ入る。
京極夏彦の書楼弔堂を読み進める…久しぶりの京極作品だったので身構えたものの、面白いぐらいにするする入ってくる。
本との在り方についてもわかりやすくまとめられていて、本読みとしても心が助けられる。いやぁ、読めてよかった
こんにちは、リアル書店員のケス・ノングです。 わが書店業界、日に日に厳しくなっております。紙の本は通販サイトから買い、さらには電子書籍は自宅や通勤中にダウンロードしてその場で読むという人が増えてしまい、「店まで出向いて本を買う」という行為自体のハードルが高くなってきています。 かくいうケス・ノングももっぱら
★『さがしもの』 角田光代
「その本を見つけてくれなけりゃ、死ぬに死ねないよ」、病床のおばあちゃんに頼まれた一冊を求め奔走した少女の日を描く「さがしもの」など九つの本の物語。
角田光代さんのさがしもの、傑作。本にまつわる本。
あらすじのラスト、「無限に広がる書物の宇宙で偶然出会ったことばの魔法は、あなたの人生も動かし始める。」ここがすでに好き。
さがしもの/角田光代 読み終わりました。本にまつわる短編集。読みながら、本ってどこへでも連れてってくれて良いもんだなぁ、って思っていたら。「ミツザワ書店」のおばあさんが全く同じことを言った。さらに角田さんもあとがきで同じことを。伝わりました。すごいな。
★『赤いカンナではじまる』 はらだみずき
ある日、書店員の野際は、文芸書棚を担当している保科史江が涙を流しているのを、出版社の営業マン、作本とともに目にする。後日、退職を願い出る彼女の涙の理由とは、何だったのか。
書店員の女性と、小説家志望の男性の、赤いカンナの花からはじまる淡い恋愛の話。本にまつわる話が細かく描写されているので、文字書きさんにおすすめです。表題作他、全5編収録【赤いカンナではじまる/はらだみずき】 #今日の一冊 pic.twitter.com/hcIKEBS0LQ
『赤いカンナではじまる』読み終わりました。本に携わる人々を主人公にした、連作短編集ですが、瑞々しくてよかったなぁー。おかげで、午後は出かけられなかったです。次は『風待ちの人』を読みます。
★『淋しい狩人』 宮部みゆき
東京下町、荒川土手下にある小さな共同ビルの一階に店を構える田辺書店。店主のイワさんと孫の稔で切り盛りするごくありふれた古書店だ。しかし、この本屋を舞台に様々な事件が繰り広げられる。
一番最初に読んだのは宮部みゆきの「淋しい狩人」っていう短編集 古本屋のじいさんとその孫が本に纏わる事件に巻き込まれたり巻き込まれなかったりするやつ連作モノで、小説としての出来も話の華やかさ的な意味でも地味だけど、地味な事こそがレーゾンデートルな感じの良い短編集だった
「淋しい狩人」読了。
うん、さすが宮部みゆき。よくある、ほのぼのミステリーかなと思って読み始めたが裏切られたぜ。
下町の小さな古本屋が物語の舞台。古本にまつわる様々な事件が描かれています。ご都合主義と現実的な部分が程よい感じで、どの話も純粋に面白い
宮部みゆき著「淋しい狩人」読了。短編集とも言える構成ですが、全話に登場するイワさんはなかなか魅力的で、こんなおじいさんになれたらいいなと思う。どの話も示唆に富む面白いストーリー。もっと宮部みゆきを読みたいと思います。
★『追想五断章』 米澤穂信
伯父の古書店に居候する菅生芳光は、ある女性から、死んだ父親が書いた「結末のない物語」を探して欲しいという依頼を受ける。調査を進めるうちに、故人が未解決事件の容疑者だったことがわかり―
米澤穂信『追想五断章』読んだ。死んだ父親が書いた五つの短編を集めるよう依頼された主人公が、その捜索の過程の中である事件の真相に迫っていくという話。それぞれの作中作自体も面白いし、思いがけぬ方向に展開しながら最終的にピースがハマって物語の全貌が見えてくるという構成が見事。