■世界中で「昆虫の減少」が深刻なスピードで進んでいます
世界中に生息する昆虫の40%が「劇的な減少率」で個体数を減らしていることが、最新の調査で明らかになった
ハチやアリ、カブトムシなどは、ほ乳類や鳥類、は虫類と比べて8倍の速さで減少している
昆虫の減少は世界中ほぼ全ての地域で起きており、向こう数十年で全体の40%が絶滅する恐れがある
昆虫たちは、現在の減少率のままいくと、今後1世紀以内に消滅する可能性がある
■いったい、なぜ昆虫は減少し続けているのか
進み続ける森林の減少
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Officers from Brazil’s Institute for the Environment and Renewable Natural Resources, or IBAMA, guard a yard filled with trees which were illegally logged from the Amazon rainforest during a sting op… by 写真:ロイター/アフロ
昆虫が減少した原因の1つは、森林の伐採や農地開発など、人間によってもたらされた生息地の変化だ
森林は樹木や草、コケなどの植物や、菌類、土壌微生物、昆虫、鳥、爬虫類、哺乳類など様々な生き物の生息・生育の場となっています
昆虫は、伐採によって生息数・種数が大きく影響を受けますが、一度減少すると長期にわたって回復しません
加速的に進み続ける地球温暖化
アフロ
People cool off in the fountains across from the Eiffel Tower as a heatwave with high temperatures continues in Paris, France, August 3, 2018. REUTERS/Regis Duvignau (France) by 写真:ロイター/アフロ
昆虫には体内の熱を調整する機能がなく、熱帯雨林の気温が上昇してもその変化に適応することができないため、昆虫は人間よりもはるかに大きな影響を受ける
昆虫は熱の影響で産卵を止め、体内でも化学変化が起こり、その数を減らしている可能性がある
彼らの生態に温暖化の影響がどのように出てくるのか。まだまだ研究する余地が多い
農薬の使用も昆虫たちの生息に大きな影響を及ぼしている
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A farmer sprays liquified fertilizer over a rice field in Tarlac province, northern Philippines August 19, 2015. The Philippines is set to miss its 2015 target for rice output after dry weather hurt … by 写真:ロイター/アフロ
1950年代から農地で有機合成農薬が導入され農業生態系の単純化が進み始め、さらに1960年ころからの急激な経済成長に伴う様々な営為による都市近郊を含む生息環境の減少や攪乱によって、それ以前には人里で普通種であった昆虫が絶滅、あるいはほとんどみられなくなった
農薬の使用が、世界中の昆虫の「驚くべき」減少を引き起こしており、これは自然の生態系に「壊滅的」な影響を与える可能性がある
農薬使用の削減は昆虫の減少を緩和させるうえで喫緊の課題
■昆虫は生態系に大きく関わっています
地球の生物種全体の約3分の2を構成する昆虫は約4億年前に出現して以来、主要な生態系を支える基盤となってきた
昆虫は、野生の植物の 80パーセントの受粉を担っており、鳥類の 60パーセントに食物源を提供するなど、自然界の生態系機能に重要な役割を果たしている
食物源を昆虫に頼っている種や、これらの動物を食べる食物連鎖上位の捕食者は、こうした生息数の減少により打撃を被る可能性が高い
■このまま昆虫が減り続けてしまうと、私たち人間の未来も危うい?
「害虫であっても食物連鎖に重要」であり、虫がいなくなれば、「世界は腐り始める」