美味しいアイスクリームの作り方 〜自宅でプロ級の味〜


自宅でプロ級に美味しいアイスクリームは作れるのか?

皆さんも一度はなめらかでコクのある美味しいアイスクリームに出会ったことがあるでしょう。
そんなアイスクリームを「自宅でも作れたらいいな」と思ったことはありませんか?
実は可能なんです。ただし、多少の手間や機材は必要になります。
ここではどうやったらプロ級に美味しいアイスクリームを作れるのかをまとめます。

アイスクリーム作りの基本(バニラアイス)

▼ 材料
・牛乳
・生クリーム
・卵黄
・砂糖

▼ 調理器具
・ハンドミキサー or 泡立て器
・へら
・ボウル
・鍋
・アイスクリームメーカー
・こし器 or ざる
・なべ

▼ 作り方
1. 卵黄と砂糖を白っぽくなるまで混ぜて置いておく
2. 牛乳、生クリーム、バニラビーンズを鍋に入れ80度前後で熱を入れる
3. 鍋に1を入れ弱火にし、とろみがつくまで全体を混ぜ合わせる。
4. こし器でこしながら容器に移し、底を氷水に当ててかき混ぜながらあら熱をとる
5. アイスクリームメーカーに入れてしばらく待って完成

ポイント1:空気の含ませ方

アイスクリームは凍っているのになめらかな口あたりが特徴です。その秘密は空気。アイスクリームに混ぜられた空気の泡や脂肪の粒子が冷たさを伝えにくくし、独特の組織とソフトな口あたりになります。
この空気の混入割合をオーバーランといいます。

材料をハンドミキサーなどで泡立てると中に空気が含まれます。
その空気をいかに維持するか、あるいはさらに加えるかが重要になってきます。そこで必要なのが凍らせながらかき混ぜるアイスクリームメーカーです。
アイスクリームメーカーが無い場合は冷凍庫で凍らせつつ何度か出して自分でかき混ぜると良いです。自分でかき混ぜる方法でもそこそこなめらかなアイスクリームが出来ますよ。

市販のアイスクリームのオーバーランは100%くらいとのことです。100%というと容器に入っている半分は空気ということになりますね。
市販のアイスクリームメーカーでは20〜30%のオーバーランが限界です。それ以上は強制的に空気を送り込むマシンが必要になります。
ちなみに、オーバーランが高ければ高いほど美味しいのでしょうか?
そうとも言えません。濃厚なアイスはむしろ少し低めのオーバーランで濃厚な舌触りを実現しています。なので、通常のアイスクリームメーカーでもプロ級のアイスクリームを作ることは可能なんですね。

出典にゃんちゅう

時間が経つとシュリンク(空気が抜けていくこと)します。出来るだけシュリンクしない安定剤や乳化剤もありますが、それでも出来立ての状態よりも空気が抜けていくものです。

ポイント2:適度な乳脂肪分

アイスクリームのコクのある風味は、良い組織と適度な粘りを持つボディから生まれます。その決め手となるのが「乳脂肪」です。乳脂肪はアイスクリームにミルクのフレバーとコクを与え、なめらかな組織と粘りと硬さのある良好なボディをつくります。乳脂肪の含有量が適度に高いほど、コクのあるまろやかな風味ときめ細かなアイスクリームになります。

アイスクリームの主な原料は牛乳と乳製品です。クリームやバターなどの乳脂肪分と脱脂濃縮乳や脱脂粉乳、練乳などの無脂乳固形分に分けられます。牛乳、加糖練乳、全粉乳は乳脂肪分と無脂乳固形分の両方を含みます。

ミックスをかき混ぜながら凍らせていくと、その脂肪球が部分的に会合し、不安定になります。その際、“ブドウの房”のようになった乳脂肪は気泡の表面へと移動し、層を作って安定化しようとします。この房状脂肪がアイスクリーム組織の骨格となります。

脂肪球の凝集は、アイスクリーム製造の際に気泡を破壊し、オーバーランを低下させますが、脂肪は「アイスクリームの柱」になり、形の維持に多分に影響を与えています。低脂肪乳でオーバーランを高くすると気泡が安定化しないのはこのためです。

乳脂肪分はいろいろ調整しながら試して欲しいですが、僕は「乳脂肪分3.7程度の牛乳」「乳脂肪分35〜47の生クリーム」を使用しています。無塩バターを加える手もありますね。
もし乳脂肪分を抑えたい場合は次で紹介する「安定剤」を投入することでジャリジャリしないなめらかな口あたりにすることが出来ます。

出典にゃんちゅう

豆知識1:安定剤の投入

一般に安定剤と呼ばれているものは高分子化合物で、種子抽出物(ローカストビーンガム、グアガムなど)、ゼラチン、寒天、ペクチンなどがあります。組織を滑らかにし、保形性をよくし、空気の混入(オーバラン)をコントロールします。さらに保管中の氷結晶の成長も抑えます。

乳脂肪分を低めにしてカロリーを抑えたい場合や卵黄を使わない場合は仕上がりがジャリジャリとした食感になりがちです。
そこで私はゼラチンか寒天を混ぜて少しマシな状態にしています。混ぜる量は全体の2〜3%くらいです。
寒天とゼラチンを比較すると、ゼラチンはカロリーが高い(といっても数キロカロリー)がなめらかな食感、寒天はそれには少し劣るがカロリーはゼロです。

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豆知識2:氷結晶の細かさ

乳脂肪分の多い濃厚なプレミアムアイスクリームのおいしさのひとつは、そのクリーミーな舌触りですが、そのアイスクリームを顕微鏡等を使って分子レベルで見ると、アイスクリームの中の氷の結晶が小さいことがわかります。

氷結晶が小さければ小さいほどアイスクリームがなめらか、すなわちおいしくなるということがわかれば、いかに氷結晶化を抑えるか、凍らせる時間を短くできる技術を考えることになります。

アイスクリームメーカーであれば比較的短時間で凍らせることが出来るため、氷結晶が抑えられなめらかな食感が実現できます。

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豆知識3:乳化剤とは?